JBC ジャパンブロックチェーン カンファレンス 【6月26日・27日】

国内最大級のブロックチェーンカンファレンス「JAPAN BLOCKCHAIN GONFERENCE―TOKYO Round 2018 」が6月26日と27日、東京都千代田区丸の内の東京国際フォーラムで開催されました。主催の一般社団法人グローバルブロックチェーン協議会の事務局によると参加者は2日間で1万人を超え、国内外の有力企業、団体が参加してブロックチェーンの最新情報が披露されました。

会場内には71のブースが作られ、2日間とも多くの見学者が溢れました。ウィークデーでの開催でしたが、20代から30代の若い層が大半を占め、この市場の将来性をうかがわせました。特に会場内で開催された講演とスピーチにはいずれも朝から長蛇の列が作られ、どの会場も立ち見が出るほどでした。

基調講演はSBIホールディングス代表取締役執行役員社長、北尾吉孝氏が登壇。ゲストスピーカーにはbitcoin.com CEOのロジャー・バー氏や元イーサリアムCEOのチャールズ・ホスキンソン氏ら今注目を集めるトップクラスのリーダーらが次々に登場し、今後の事業展開とブロックチェーンの将来について、熱いメッセージを聴衆に送りました。

北尾社長の基調講演は非公開でしたが、2010年以降、AIとビッグデーターの利用で新しい大きな変革が始まっていると指摘し、グループ200社余りで作る金融生態系のブロックチェーン革命への対応状況を具体的に説明しました。
仮想通貨市場で北尾氏が強調したのは実需の拡大でした。そしてICOについては会計処理と規制をどう進めるかが課題だと指摘し、金融当局とも十分協議して市場参加を急ぐと説明しました。

講演の中でファンクラブまで駆け付けたのが、イーサリアムの共同設立者でエイダコインの発案者、チャールズ・ホスキンソン氏でした。
演壇の前は「チャールズ応援隊」のプラカードを持ったファンが埋め尽くし、日本での幅広い人気をうかがわせました。

少し太めになった感じのホスキンソン氏は、まず手を振って笑顔で挨拶をしました。「ハワイのマウイ島で生まれた僕にとって本が一番大切な情報源だった」と幼年時代を紹介、「ところが今の子供はボタンを押せば、どこにいても世界中の情報が手に入る」などと、インターネット世界が教育に与えるインパクトと期待を語りました。

そして21世紀に入って最大の発明が暗号通貨だと指摘しました。それまでの世界は「サイロ状態」でタコツボ化しており、価値の交換が極めて難しかったと説明した。その上で「暗号通貨は金や銀、土地それに労働までを含め、一つのトークンで価値の交換ができること、そしてそれを極めて安い手数料で世界のどこにでも送れる」とその価値、有用性を強調しました。また「暗号通貨により富めるものも貧しいものも、同じマーケットにアクセスできる」などとその開かれた構造の大切さも説明しました。

さらに暗号通貨の価値ひとつのスマートコントラクトに触れ「地球の反対側にいる相手を信頼できるかどうか、理解できるかどうかが分かる時代になった」と解説しました。「一つのトークンで同じレベルの信頼性を遠い国の相手とも共有できること」の素晴らしさも伝えました。

暗号通貨、トークンが作るグローバルコミュニティの可能性も示唆しつつも、その途上には「いろいろな失敗もある。しかしだんだん良くなっていくのだ」と最近の暗号通貨市場の問題などもうかがわせ、「いまある1500を超える暗号通貨の多くは続かないだろう。失敗を重ねながら、その中でどう維持し生き残るかが大切だ」と話しました。
「世界は自分のことを覚えている時代が始まっている」とブロックチェーンの可能性も示唆。同時に「個人のデータを自分でコントロールできる世界を、暗号通貨が実現する」とこのツールもつ分散化と民主化の可能性に期待を語りました。

またタレントの登壇もありました。
6月に創立し、7月にICOを目指しているTime Innovation社の事業紹介の特別ゲストには、元宮崎現知事でタレントの東国原英夫さんと元経済産業省官僚で慶応大学大学院教授の岸博幸さんが対談しました。
顧客の行動を把握し、それにポイントを与えるというような「時間を価値に」をコンセプトにした同社の今後の事業モデルについて、岸教授は「シェアリングエコノミーが時代の潮流であり、個人の時間を取引することをビジネスモデルにするのは面白い」評価しました。
東国原さんは「ショッピングセンターなどの滞在時間をポイントに変えるということか」と質問しながら、新事業の可能性を浮かび上がらせました。「ラーメン店で並べばポイントをもらえるなんて楽しい」と東さんが例示すると、岸教授は「行列はいいマーケティングですね」と「苦痛まで価値になる」と新事業の「タイムイノベーション」にもなる革新性を指摘しました。

東国原さんは、IPOからICOに移るのは時代の流れと解説しながら、「最近ICOに対して規制と管理強化が多い」と今の状況を懸念して「新しい市場を築くにはチャレンジも必要だ。政府も後押しをしてほしい」と改めて国としての積極姿勢を期待していました。

会場の3ステージ2日間に渡った講演、スピーチは50を超え、パネルディスカッションも5回開催されました。

 

主な講演、スピーチのメモを以下に紹介します。

■ロジャー・バー氏(コインベースCEO)

・経済的自由度のランキング
1位 香港
2位 シンガポール
3位 ニュージーランド
4位 スイス
5位 オーストラリア
6位 アイルランド
・・・・
経済自由度が高い→長寿という相関がある。上位は幼児死亡率が低い、貧困層が少ない

・ビットコインキャッシュ(BCH)は送金手数料、速度が速い。故に本当のビットコインはビットコインキャッシュ(BCH)と考えます⇒ロジャーはBCH推しです。

 

■アーロン・マクドナルド氏(セントラリティーCEO)

セントラリティー(CENNZ)はニュージーランドに拠点を置き、250人ほどの従業員を持ちます。

・ブロックチェーン技術の本来の目的は富、権力の集中を分散したいといったところから始まっています。
スマホのアプリなどのほとんどは出た当初こそ、ダウンロードされて一定期間は盛り上がりますが、結局は90日以内に失敗します(メジャーなものしか使われなくなる)。

・セントラリティーは分散型アプリケーション(Dapps)のプラットフォームになり、アプリを連携させて自身のプラットフォーム上で様々な分散型アプリケーションを動作させることができます。
例えば
Pl^g:セントラリティーエコシステムのベースのプラットフォームになるアプリ。
ログイン→パスポート・顔認証をすると、アプリの中を移動できるようになります。(このプラットフォーム上にいくつものDappsを連携させていく)
Dappsの一つを例として挙げます。
Sylo:分散化されたメッセージングアプリ(中国のwechatのようなものの分散型)。タップするだけで送金でき、分散化P2Pのビデオ通話ができます。
CentrapayというロゴがついているDappsはsylo含めATMのような機能を持つようになって今後もどんどん出てくるようです。

 

■兼元謙任氏(OKWAVE)

・2015年くらいにロジャー・バーがOKWAVEに訪ねて来たことがあり、外国でモノを買う時に仮想通貨というものがあるんだよと言っていた。兼元氏は当時、仮想通貨が何なのかあまり理解できなかったようです。

・30年ほど前にはAmazonが、「将来的に本屋がインターネットに移る」といって当時は笑われていました。(現在は世界最大のネット書店となっている)

・インターネットはオープンソース(ソースコードが常に公開されている)なのでバグがある(脆弱率98%)
ブロックチェーンではこのようなリスクが排除され、やっとスタート地点に立てる。
→仮想通貨はまだこれからであると考えています。

・OKWAVEは、COMSA・bread・Wowooなどに投資をしており、現在はマレーシアのジョホール州イスカンダルマレーシアのメディニ経済特区にOKWAVE Blockchain Center建設中。

 

■NEO NEO Head of Japan Operations 葉山ミキ氏

NEOベースのICO案件2つ紹介
・imusify:ミドルを介さないミュージックアプリ。
レコーディング費用やツアー費用などをクラウドファンディング。ファンが直接払うことができる(P2P)。 imusifyはSwetcheoへの上場が決まっています。

・Swetcheo:分散化取引所(DEX)
NEOだけでなく今後Qtum他多数のチェーンを導入したマルチチェーン化を計画。NEOのCEO Da Hongfei氏は「将来、中央集権的な取引所は無くなり、分散型取引所(DEX)に変わっていく」と述べています。

 

■ディスカッション①
参加者▽7 Marketz CBDC ジョージアガサンジェル氏▽テッククランチ 編集局長 ジョシュ・コンスティン氏▽Cointelegraph Board Member ステファン・チェイス氏▽Nexo デオドラ・アナタソヴァ氏▽Alignment Group CMO Roi Carthy氏

・ICOはほとんど詐欺で、ほとんどの会社が失敗するのが現実としてあります。これは詐欺師が多いことが問題です。

・デューディリジェンスが大事です。今はそのプロジェクトメンバーが運営している実際のアプリのダウンロードが何万されている等の実用性を売りにして信用させて投資させているプロジェクトが多くみられるが、実はちゃんと機能していないプロダクトであったりします。
詐欺案件はそれでも資金調達ができているというのはマーケティングが上手いと言えます。

・CoinTelegraphやTechcrunchなどいろいろ記事を書いている媒体があるが、誠意をもって書くことが必要です。特定の会社からフィーをもらって記事を書いているようなことが起きているのが現実である。ウォールストリートジャーナルなどは比較的誠実なように見受けられるが、そういった感じに他の媒体もなるべきです。

・ブロックチェーンが宗教(カルト)のようなものになっていないか?
開発者は人生をかけて開発に取り組んでいるので宗教的になっても仕方ない。
何か明確で簡単な指標(仮想通貨で言うところのブロックチェーンという技術)ができればそれに従おうとする習性があるのは宗教と一緒です。
ブロックチェーンという言葉を使いすぎという問題はあります。

 

■デイビッド・A・コーエン氏(Hashgraph顧問、IOTA創業メンバー)

・AIはかしこいが、計算的なものはできても文字の意味の把握まではまだできません。
AIは敵にも味方にもなります。
・ブロックチェーンは暗号化、分散化、台帳というのが主な機能だが、スケーラビリティ問題がある。それを改善するためのものにIOTA(DAG機能)、Hashgraphなどがあります。
・ガバナンスに標準・スタンダードがないのが問題である。
・Hashgraph:銀行並みのセキュリティ・高速な処理速度が特徴です。

 

■ディスカッション②
参加者PATORON CEO 高田 晃典氏▽Hashgraph IOTA財団創業メンバー デイヴィッド・A・コーエン氏 など

・インフルエンサーのシェアリングエコノミー(競合:indahash,friendzなど)
ブローカーやエージェンシーを介さない。トランザクションがはやい(Hashgraph搭載)
中央分散型ではなく分散型というのは、皆で支えて皆で管理するというシステムであり、みんなが使える技術として、一般に普及させる必要があります。
LedgerNanoSの復元のために必要な24ワードを見てもらったりするとお分かりいただけると思いますが、そのワードを紛失してしまうとおしまい、また送金などでアドレスを間違えるなどでセルフGOX(その誤送金した分の通貨は消滅)するなどがあると普及しません。
中央集権→分散型 人々への普及は時間が掛かる。インフラ(マイニングなど)に改善が必要。その例として、コンセンサスアルゴリズムはPoWからPoSへ、さらにはHashgraph、DAG機能など…があります。

 

■ディスカッション③
参加者 Input Output hong Kong Ltd CEO、元イーサリアムCEO チャールズ・ホスキンソン氏▽Hashgraph IOTA財団創業メンバー デイヴィッド・A・コーエン氏▽EOS▽セントラリティー CEO アーロン・マクドナルド氏

・ブロックチェーンをこれからより参加しやすいものにしていきます。

・ブロックチェーンはなんでも分散化できる、データをトラスト(信用があるもの)にできます。ただし、技術を使って信用をつくるには実績のある技術を使う必要があります。

・暗号通貨(仮想通貨)はブロックチェーン技術のプロトタイプ、モデルです。

・スケーラビリティやセキュリティ問題があるが、正しいものをつくるのは難しく、試行錯誤していく必要がある。また、いいアイデアであってもそれが政治的、ガバナンス的にどうなのかが問題になります。→技術と共に政治的な人も必要。

・インターネットは普及するまでに30年ほどかかりました。
ブロックチェーンはまだ5年ほどしかたっていません。大きな変革が起こるにはまだあと5年ほどはかかるでしょう。

・ブロックチェーンが普及しないというのはまず、それが実際に使われているようなモデルがなく、コンセンサスもないことがある。消費者には(前にその技術を使ったことがある人でなければ)何に問題があってブロックチェーンを使うのかというのが分かりません。

・1990年代初頭にもPGPという秘密鍵、公開キーを一緒にしたモノ(公開鍵を暗号化する)が開発されていましたが、ほとんどの人が理解できずに普及しませんでした。

・最終的には消費者がそのアプリケーションを信頼しなければ普及しません。

・これにはまだまだ時間がかかるが、今後ブロックチェーン技術が皆から認められてくれば普及するでしょう。